Storyものがたり
時は江戸初期。
巌流島で佐々木小次郎を破り伝説となった宮本武蔵は、
幾多の勝利の果てに剣ではなく人としての生き方を求め、
肥後・熊本へと辿り着く。
時の藩主・細川忠利は文化と学問を尊ぶ器量を備え、
武蔵の内なる精神を見抜き、士官ではなく客分として迎え入れた。
清水のように澄んだ日々の中で、武蔵は筆をとり、
絵を描き、工芸を愛で、自然と芸術に心を寄せる。
やがて『五輪書』に兵法の真髄を、『独行道』に生の結晶を託す。
武蔵にとって生涯で唯一仕えた主君――それが忠利。
二人の関係は主従を超え、心と心を交わす対話の場となった。
武蔵の遺した言葉は、細川の庇護のもとに息づき、
武芸を越えて人々の心に流れ続ける。
いま、水前寺成趣園を舞台に、
二人の絆と時を越える物語が光と映像の中に蘇る。
まるで庭そのものが五輪の書を綴るかのように。
剣豪から、ひとりの人間へ。








